フェルメールの絵

良酒倉庫の店の入り口の上に掛けてあるフェルメールの絵に気がついておられるでしょうか?

お気づきになっておられない方は是非、入店の際に入り口の上に掛けてある絵をご覧になってください。

絵はヨハネス・フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』です。

フェルメールは1600年代半ばに活躍したオランダの画家です。
陰影を巧みに使った画風が有名ですが、数少ない肖像画が残されているだけです。

この絵は、少女がふと振り向いた瞬間をとらえています。
普段、構図に非常に凝る画家としては珍しいほどに単純な画面となっており、この作品のモデルとともに長年の謎とされていました。

謎といえば、この少女の服装も謎です。
鮮やかな青いターバンが印象的ですが、この服装は当時のオランダでは無かったもの。
何を目的に誰を描いたのかと、長年の論争が絶えていません。

そんな中、最近の研究でフェルメールが海外のとある事件を知り、それに胸を痛めて描いたのではないかと言う説が現れました。

当時のオランダは貿易が盛んで、それとともに海外の様々な情報が入ってきた時代でした。
そんな多くの情報の中、一人の少女が死刑宣告されたという事件を耳にしたといいます。
遠い国。風俗も服装も知らない、その情報さえ得る事の出来ない時代。
ただ、文字や口伝えにきいたあまりに悲しい事件。

ある国で美しく育ったある少女は、恐ろしいことに父親から歪んだ欲望を向けられてしまいます。
少女は抵抗のため、父をその手にかけるしかありませんでした。
しかし、当時はどんな理由があろうとも父殺しは大罪。
現代でいう未成年であろうとも、死刑を宣告された―。

フェルメールはこの事件に胸を痛め、鎮魂の想いを込めてこの作品を描いたのではないか…という説が現在の有力な説です。

実際そう考えるならば、この少女の服装が当時のオランダの服装ではない、異国風のものであったこともうなづけます。

絵画の歴史は、常にその時代とともにありました。

この作品も大航海時代を経て貿易が盛んになり、様々な情報が入ってきた時代であったからこそ生まれた作品であったのかもしれません。(説明:小椋 恵)

この絵は、磁器で焼いたもので、大変貴重なものです。

オーナーは元来、絵を描くことも見ることも好きで、とりわけ、フェルメールのこの絵を大変気に入っております。