伊豆の国市でフェルメールに出会った!

ビールを買うために立ち寄ったら、驚いた。
国道136号線沿いにある良酒倉庫の店の入り口の上にフェルメールの絵が飾ってあった。

お気づきになっておられない方は是非、入店の際に入り口の上に掛けてある絵をご覧になってください。

絵はヨハネス・フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』。

フェルメールは1600年代半ばに活躍したオランダの画家。
陰影を巧みに使った画風が有名ですが、数少ない肖像画が残されているだけ。

この絵は、少女がふと振り向いた瞬間をとらえている。
普段、構図に非常に凝る画家としては珍しいほどに単純な画面となっており、この作品のモデルとともに長年の謎とされていた。

謎といえば、この少女の服装も謎。
鮮やかな青いターバンが印象的ですが、この服装は当時のオランダでは無かったもの。
何を目的に誰を描いたのかと、長年の論争が絶えていない。

そんな中、最近の研究でフェルメールが海外のとある事件を知り、それに胸を痛めて描いたのではないかと言う説が現れた。

当時のオランダは貿易が盛んで、それとともに海外の様々な情報が入ってきた時代だった。
そんな多くの情報の中、一人の少女が死刑宣告されたという事件を耳にしたという。
遠い国。風俗も服装も知らない、その情報さえ得る事の出来ない時代。
ただ、文字や口伝えにきいたあまりに悲しい事件。

ある国で美しく育ったある少女は、恐ろしいことに父親から歪んだ欲望を向けられてしまう。
少女は抵抗のため、父をその手にかけるしかなかった。
しかし、当時はどんな理由があろうとも父殺しは大罪。
現代でいう未成年であろうとも、死刑を宣告された―。

フェルメールはこの事件に胸を痛め、鎮魂の想いを込めてこの作品を描いたのではないか…という説が現在の有力な説だ。

実際そう考えるならば、この少女の服装が当時のオランダの服装ではない、異国風のものであったこともうなづける。

この作品も大航海時代を経て貿易が盛んになり、様々な情報が入ってきた時代であったからこそ生まれた作品であったのかもしれない。(説明:小椋 恵)

オーナーに聞くと、この絵は、磁器で焼いて作ったもので、大変貴重なものだそうだ。

酒屋にフェルメール、なんと不思議な取り合わせ。
思わず、冷たいビールで乾杯した。

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